高性能林業機械

The Japan Forest Engineering Society

July 12, 2004

WB00969_.GIF (261 バイト) 在来型林業機械 


 1980年代後半より北米や北欧,およびオーストリアで使われているような,新しい林業機械が日本国内でも利用されるようになりました。これらは「高性能林業機械」と呼ばれ,省力化や労働安全性の向上,労働力確保の面から,今後林業の中心となる機械として期待されています。
 「高性能林業機械」以外の機械の性能が低いということではありませんが,次に該当する物が統計上高性能林業機械とされています。

プロセッサ

 プロセッサは国内で最も普及している高性能林業機械です。林道や土場などで全木集材した材の枝払いと玉切りを専門に行います。国内のほとんどのプロセッサは材をつかむグラップルと枝払い用の刃,材送り装置,玉切り用のチェーンソーで構成されます。
 プロセッサはまずグラップルで伐倒木の根本をつかみ,どこから長さを測るかを決定します。グラップルでつかんだ時に枝払い用の刃が幹に沿うように並びます。そして,並んだ刃の中に伐倒木を材送り装置によって通せば刃に当たった枝が切り除かれます。測尺装置という材の長さを測るセンサを装備する機種では設定した長さになると材送り装置が止まり,チェーンソーで玉切りします。木の大きさにもよりますがプロセッサを用いた枝払い玉切りに要する時間は1本あたりおよそ2〜3分です。一方チェーンソーを用いて人力で行った場合は枝払いに約10分,玉切りに約6分程度かかります。プロセッサは造材の時間と労力をいかに削減できる機械か理解していただけると思います

イワフジ CT-500プロセッサヘッドの構造 

 プロセッサが素材生産の主力となっているのは我が国独特のものです。林業機械化の先進地である北欧などでは伐倒も可能なハーベスタが主力となっています。また,北欧ではベースマシンに農業用トラクタや林業専用機が用いられることが多いのですが,日本では油圧ショベルの機体を使用したものが大半を占めるのも特徴といえます。これらは大型機械が森林内へ進入できない地形が多く伐倒機能が必要でない場合が多いこと,また,油圧ショベルが安価に入手できることに原因があると考えられます。さらにプロセッサはハーベスタに比べグラップルが大きく積み込みや仕分けの行いやすいために,グラップルローダとしても利用することが可能であり,この点も普及が進んだ原因といえるでしょう。

 

ハーベスタ

 伐倒,枝払い,玉切り,集積(伐倒木を集めて積んでおくこと)を1つの作業機で行える機械です。機構的には木を伐倒できるように写真のような作業機姿勢を取ることができる点がプロセッサと違います。北欧ではハーベスタによる一貫した機械化により,作業能率を上げ労働災害を減らすことに成功しています。日本ではハーベスタを導入しても伐倒作業が行える林地が少ないため,主にプロセッサと同じく造材に使われているようです。ハーベスタによる枝払いと玉切りの手順はプロセッサと全く同じです。
KETO100  ハーベスタヘッドの構造  

 

フォーワーダ

 造材された材を積み込み運搬する集材用車両で,積み込み用のグラップルローダを装備しています。国内で最も普及しているのは2.5tの積載量を持つ総輪駆動ホイール式の機種です。しかし,近年はホイール式の機種に変わり,ゴムクローラ式の機種の導入台数が増えてきています。フォワーダは全木材や全幹材といった長材の運搬には適しませんが,玉切りされた丸太を完全に積載して運ぶため,泥等の付着が少なく製材時に発生する鋸刃の損傷を減らせる利点があり,今後も集材の中心を担っていくものと考えられます。
 フォワーダと林内作業車とはグラップルローダの有無で区別しますが,2t程度の積載量を境に大型のものをフォワーダ,小型のものを林内作業車として分類するのが実状にかなっているようです。

 

 


タワーヤーダ

及川自動車 RM-200T

 移動しやすくするためにトラックや林内作業車およびトレーラをベースマシンとして,集材用のウインチを搭載したのがタワーヤーダです。また,集材時にワイヤロープを高く上げる必要から,向柱や元柱の代わりとなるタワーを装備しています。さらに,特殊な搬器やウインチの制御機構を用いることで索張りに必要なワイヤロープの本数を少なくしています。
 タワーヤーダの長所は,従来の架線集材に比べ必要とする機材が少ないうえ,ワイヤロープや搬器などの必要な器具を運搬できるため,架設が短時間で行えることにあります。しかし,ワイヤロープを張り上げる高さが従来架線に比べ低いことや,索本数が少ないことから1本の架線で集材可能な面域は狭くなり,一つの作業現場で数回の張り替えを行う必要が生じます。そのため,架線の配置計画の良否が作業能率に影響します。




スイングヤーダ

コマツ HC30 油圧ショベルをベースマシンとしたタワーヤーダです。機能的にはタワーヤーダと同様ですが,引き上げてきた伐倒木を機体を旋回させることで仕分けを行ったり,機体の横でワイヤロープをはずすことができる特長があります。また,アームに取り付けた作業機によって別の作業を行うことが可能です。
 平成13年度の調査からタワーヤーダと区別されるようになりました。

 




スキッダ

 高性能林業機械のスキッダとはグラップルを車体後方に装備したグラップルスキッダのことですが,本来は全木材もしくは全幹材をけん引集材する林業用トラクタの総称です。スキッダは伐倒木を内装のウインチにより林道や作業道まで引き寄せた後,その片方を持ち上げた状態で引きずり走行します。グラップルスキッダは運転席からの操作で数本の木をつかむことができ,ワイヤロープやチェーンでこれらを束ねる手間が省けます。
 林業用トラクタと呼ばれてきたグラップルのないスキッダは,車両系林業機械として古くから緩傾斜地における集材作業の主力機械として用いられてきました。普及のきっかけはチェーンソーと同じく洞爺丸台風の風倒木処理に大量に導入されたことでした。 

 

  

フェラーバンチャ

 立木を伐採し,集材しやすいように特定の方向に倒し集積する機械です。ハーベスタと同じく多くの機種は傾斜地向きでないため,あまり普及していません。しかし,作業機が軽くできるので長いブーム・アームに取り付け作業範囲を広げた機種や,小型軽量で急傾斜地でも作業の可能な機種も開発されるなど,日本の林業に適した工夫や改良も行われています。

イワフジ GF-35    イワフジ FR30

 

Takumi UEMURA

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